生涯研修SEMINAR

B会場

5月25日(土), 5月25日(土)

15:00 ‐ 15:50 ( 50分)

株式会社 茂久田商会  ]

「穿通・グライドパス用ファイル 極細アクセス®, レシプロックソフト®, 洗浄チップEDDY®が拓く根管治療の新たな展開」

日本大学松戸歯学部
歯内療法学講座 臨床教授

五味博之  先生

要約:
穿通・グライドパス用ファイル 極細アクセス®,さらに進化したNi-Tiロータリーファイル レシプロックソフト®,洗浄チップEDDY®などの新器材を用いた最新の根管治療を紹介したい。

 

根管治療は1990年代にNi-Tiロータリーファイルが臨床応用されるようになってから、術式が徐々に簡素化され診療時間の大幅な短縮が可能になるとともに、長年の研究成果と相まって治療の確実性が増してきた。近年は、CTやマイクロスコープが保険適用され診断能力の向上と予知性の高い診療が提供できるようになった。

根管治療は、根管口明示→ストレートラインアクセス→穿通(ネゴシエーション)・作業長の測定→グライドパス・根管形成→根管洗浄→根管充填の手順で行われる。近年、高齢者の狭窄した根管の治療が多く根管口明示から穿通までに時間がかかり非常に苦慮している。しかし、この作業を簡素化するため開発された穿通・グライドパス専用ファイル 極細アクセス®(R‐Pilot®)の使用で狭窄・湾曲根管などの難症例の形成が容易になり、CTやマイクロスコープで見つけた上顎大臼歯の近心根第四根管などの拡大形成が処置しやすくなった。

一方、ドイツVDWジッペラー社では、2008年のYaredのレシプロケーションでNi-Tiファイル使用する研究をもとに、2011年にファイルを150°と30°反復運動で1分間に300回転で使用することで、1本のファイルで根管形成が可能なレシプロック®を発売し、750万本以上というVDW史上かつてないセールスを記録した。さらに今年、ニッケルチタン合金に特別な熱処理を行うことで従来のレシプロックに比べ、柔軟性が40%向上し周期疲労の破折抵抗が2.3倍強化され、プレカーブの付与が可能な、レシプロックソフト(RECIPROC Blue)が発売なった。

また、Ni-Tiファイルやステンレススチールファイルを用いての機械的な根管拡大形成後、症例によっては35%以上の根管壁に機械的拡大が及ばないとされ、根管洗浄が非常に重要であることは論を待たない。今回、エアースケーラーに装着し、5000-6000Hzの振動で使用するポリマー製の根管洗浄用チップEDDY®が発売された。ポリマー製なので、柔軟性に富み湾曲根管にも追従し、三次元的な高速振動により、側枝や根尖分岐部にも洗浄効果が期待できる。

本セミナーでは、穿通・グライドパス用ファイル極細アクセス®,レシプロックソフト®,洗浄チップEDDY®などの新器材を臨床応用を交えて紹介したい。